会長のごあいさつ

  千葉大学ゐのはな同窓会は100年余の歴史と伝統を有し、名尾良憲、井出源四郎元学長、長澤仁一、渡辺武、伊藤晴夫などの歴代会長先生方が営々として努力され、築いてこられた会です。

  千葉大学医学部は、日本での医学・医療のリ−ダーとして、また医療界における有為の人材の育成機関として、その担う役割は極めて大きいと言えます。わが医学部は歴史的に優秀な研究者や熱意ある臨床医を数多く排出してきました。困難な医学研究や難病の診断や治療に目覚ましい実績を挙げ、独創的な研究を推進して世界をリードしたり、抜本的手術法や早期がん診断法を開発して国際的評価をうけた先輩諸氏など枚挙にいとまがないほどです。『世界がスタンダード』これらの方々の努力で培われた伝統を烏有に帰することなく、素晴らしい業績が示されるよう願うところです。

  現今の医学・医療の進歩の目覚ましさに剋目させられる反面、医療現場でのさまざまな課題が浮き彫りにされております。医療は人が人を癒す、まさに人間的な行為です。『国民(患者)の期待に応える医療、受療者が満足する診療』が具現されるよう望むところです。

  医学部基礎教室が臨床部門と手を携えて、医学・医療界に治療学などの成果を齎し、また斯界に貢献する医師の育成をも望むところであり、その目的に向かってゐのはな同窓会も側面的な支援に努める所存です。

  同窓会の目的は、会員親睦の推進ならびに医道の高揚と敷衍にあるわけですが、具体的な同窓会としての事業計画を立案してその達成をめざすことになります。同窓会会員のための活動推進(各支部間の連携など)などが挙げられます。山積するゐのはな同窓会の課題を一つ一つ丁寧に分析して、その具体的解決や方向性を見出して、医学部へ貢献できればと考えております。

  かつて昭和12年に、6年間の歳月をかけて完成した大学病院(現医学部)は亥鼻台に聳え立ち、東京湾を隔てた横浜からも遠望されたとのことです。ゐのはな同窓生一同、その誇りと矜持とを忘れず、千葉大学医学部が今一度、全国から仰ぎ見られることを願うものです。

  『安全、有効、患者中心、効率的、適時的、公平』の6項目は1917年に米国外科医会が定めた「医療の要件」です。医療者側のみの論理でなく、万人が認める素晴らしい医学教育と医療が推進されることを望むものです。医療への信頼を取り戻し、千葉医学の存在を世に示すことができるよう望んでおります。皆様方のご理解とご協力を切にお願いする次第です。

千葉大学ゐのはな同窓会
会長 済陽高穂